「30代未経験からのIT転職は厳しい」
調べれば調べるほど、この言葉が目に入ります。私自身、30代半ばで公務員からIT業界への転職を決めたとき、覚悟して転職活動を始めました。
結果はどうだったか。書類提出15〜16社 → 書類通過10社超 → 内定5〜6社。「厳しい」と言われて身構えていた身としては、拍子抜けするほど通りました。
ただし、これは「30代未経験でも余裕」という話ではありません。通る土俵を選んだから通ったのであり、入ったあとに本当の勝負が待っていました。数ヶ月で辞めていった同期も見ています。
この記事では、「厳しい」と言われる定説を、私の実データと周りの実例で1つずつ検証します。
先に結論
| 定説 | 私の実感 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① 書類で落とされる | 土俵による | SES中心なら書類15〜16社→通過10社超 |
| ② 面接で年齢を突かれる | 事実。ただし答えは用意できる | 「この歳でなぜ?」は実際に聞かれた |
| ③ 年収が大きく下がる | 事実 | 私は100万円以上ダウン |
| ④ 30代はついていけない | 年齢よりも準備次第 | 数ヶ月で辞めた30代同期/続いている20代後半同期 |
| ⑤ 家庭持ちには無理 | 無理ではないが、覚悟は必要 | 自由時間のない期間が続く |
① 「書類で落とされる」→ 土俵の選び方で変わる
転職エージェントには最初にこう言われました。
「年齢と未経験という経歴では、書類通過率が高くない。20社程度に応募することをおすすめします」
つまりプロの見立ても「書類は厳しい」でした。実際の結果がこうです。
- 書類提出:15〜16社
- 書類通過:10社超
- 内定:5〜6社
エージェントの想定より、はるかに通りました。ただしこの数字には重要な前提があります。
私は最初からSES企業に絞って応募しました。自社開発や受託開発は、未経験だとポートフォリオや実績が必要で、ゼロから準備するには時間がかかりすぎると判断したからです。未経験採用の門戸が広い土俵を選んだから、書類が通った——これが実態だと思います。
「30代未経験は書類で全滅する」は、自社開発企業に正面から挑んだ人の体験談であることが多い。土俵を間違えなければ、書類は思ったより通ります。どの転職サービスを使ったかは未経験IT転職で使った5サービスの正直レビューに、活動全体の時系列は公務員からIT転職した話にまとめています。
② 「面接で年齢を突かれる」→ 突かれた。でも答えは用意できる
これは事実です。面接では実際に、「この歳でなぜ転職を?」という趣旨の質問をされました。
私の答えはシンプルでした。
「ITをやってみたかったからです」
取り繕った志望動機より、正直な動機のほうが強い。30代の転職は「なぜ今なのか」に必ず答えることになるので、自分の中で本音の理由を言語化しておくことをおすすめします。
もう1つ、「年収が下がりますが大丈夫ですか?」という趣旨の指摘もありました。これに対しては、
「資産形成をしてきており、ある程度の見通しと余力を立てています」
と答えました。実はこれが30代ならではの強みだと思っています。20代にはない家計の備えを作ってから挑めるのが30代です。私の場合、転職前にFP3級を取って家計を数字で見直し、「年収が一時的に下がっても家計は成立する」と確認してから決断しました。面接対策としてではなく、自分と家族を安心させる材料として、これは本当にやってよかったです。
③ 「年収が大きく下がる」→ 事実。私は100万円以上下がった
ここはごまかしません。公務員からの転職で、年収は100万円以上下がりました。
30代は生活費も責任も大きい。この下げ幅に耐えられる設計がないと、転職後の生活で心が折れます。対策として効いたのは:
- 転職前の資産形成(余力があるという事実が精神安定剤になる)
- 資格報奨金のある会社を選ぶ(私は18ヶ月で13資格を取り、収入の足しにしました。ロードマップはこちら)
- 固定残業代のない会社を選ぶ(給与の見かけに騙されない。SES企業の選び方で詳しく書きました)
④ 「30代はついていけない」→ 年齢より「入る前の準備」で決まる
私の同期は3人いました。実例をそのまま書きます。
- 30代の同期:「テスターや事務作業ばかりでスキルが身につかない」と愚痴っていて、3〜4ヶ月で退社
- 20代後半(ほぼ30歳)の同期2人:完全未経験で入社。今も続いています
この差を「やっぱり30代はダメなんだ」と読むのは違うと思います。私自身は30代半ばで入って、開発案件でサブリーダーを経験し、18ヶ月続いた上で今は育休を取得しています。
分かれ目は年齢ではなく、現場ガチャへの耐性と、入る前後の学習量です。私は入社前にエンジニアの友人の伴走付きでUdemyの講座を7つ完走し、入社後は子どもが寝たあとの1日1〜2時間を学習に充て続けました(時間管理の方法はこちら)。
正直に言えば、この学習継続ができない人は、20代でも30代でも脱落します。逆にできる人は、30代でも普通に生き残ります。独学に自信がない人はデイトラのようなサポート付き教材から始めるのも手です。
⑤ 「家庭持ちには無理」→ 無理ではない。ただし覚悟は必要
私は子持ちで転職しました。実感として、30代・子持ちのIT転職は「無理」ではありませんが、「自由時間がほぼない期間がしばらく続く」ことは覚悟したほうがいいです。
仕事+子育て+キャッチアップ学習。この3つを回すと、自分の趣味の時間はほぼ消えます。私の場合、その期間は少なくとも1年以上続きました。ここを「そういうものだ」と受け入れてから飛び込むかどうかで、続くかどうかが決まると思います。
もう1つ、家庭持ちに伝えたい失敗談があります。私は転職の決意を妻に最初に報告しなかったことで揉めました。30代の転職は自分だけの話ではありません。この失敗の詳細も含めて、家族への相談は何より先にやってください。
結論:20代なら迷わず行っていい。30代は「備え」を作ってから
私の実感をまとめるとこうなります。
- 20代なら、完全未経験でも問題なく行けます。独身なら特に、失敗してもやり直しが利く
- 30代(特に子持ち)は、3つの備えを作ってから:
- 家計の備え——年収ダウンに耐える資産と試算(NISA等での資産形成は別ブログで書いています)
- 学習の備え——入社前にプログラミング学習を一通り終える
- 家族の合意——最初に相談する
この3つが揃っているなら、30代未経験のIT転職は「厳しいギャンブル」ではなく「計算できる挑戦」になります。私は年収が100万円以上下がっても、この選択を後悔していません。
よくある質問(FAQ)
Q1. 30代未経験でIT転職の書類選考は通りますか?
土俵によります。私(30代半ば・公務員から)はSES企業に絞って応募し、書類提出15〜16社→通過10社超→内定5〜6社でした。エージェントの事前想定(通過率低め・20社応募推奨)より大幅に通っています。一方、自社開発・受託開発はポートフォリオ等が必要で難易度が上がります。
Q2. 面接で年齢について何を聞かれますか?
私は「この歳でなぜ転職を?」という趣旨の質問と、「年収が下がるが大丈夫か」という指摘を受けました。前者には正直な動機(ITをやってみたかった)を、後者には資産形成による見通しと余力を答えました。「なぜ今なのか」への本音の答えを言語化しておくことが最重要です。
Q3. 30代未経験は入社後についていけますか?
年齢より準備次第です。私の同期3人のうち、30代の1人は3〜4ヶ月で退社しましたが、完全未経験の20代後半2人は続いています。私自身は30代半ばで入り、開発案件・サブリーダーを経験しました。入社前の学習と、入社後に1日1〜2時間の学習を続けられるかが分かれ目です。
Q4. 子持ちの30代でもIT転職できますか?
できます。ただし仕事・子育て・学習の3つを回す間、自由時間がほぼない期間が1年以上続くことは覚悟してください。また、年収ダウンに耐える家計の備えと、家族への事前の相談(私はここで失敗しました)が必須です。